遺言書の種類・特徴を比較解説!自分に合った遺言書を選ぶコツ

「遺言書」について考えたことがありますか?難しい印象をもって躊躇してしまうかもしれませんが、安心してください。今回の記事を読むことで、遺言書の内容や種類について理解できるはずです。遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴や利点、欠点が存在します。
遺言書の種類や特徴、選び方のポイントを紹介するので、後悔のない選択をする際の参考にしてください。

目次

遺言書って何?

遺言書とは、亡くなった後に自分の財産や思いを大切な人に伝えるための文書です。
この「最後のメッセージ」を通じて、財産分配や特定の希望を家族や友人に伝えることが可能です。

遺言書3つの形式の特徴・メリットとデメリット

それでは、遺言書の3つの形式それぞれの特徴やメリット、デメリットを見ていきましょう。
遺言書には、自分で書く自筆証書遺言、公証人が作成する公正証書遺言、秘密のままで残す秘密証書遺言の3つの種類があります。それぞれに特徴があるので、しっかり比較検討してみましょう。

自筆証書遺言

特徴

自分で手書きする遺言書で、全文を自分で書く必要があり、日付と署名も必要。

メリット

  • 一人で簡単に作成できるため、手軽さがある
  • 手数料などの費用が不要で、作り直しも容易

デメリット

  • 紛失や偽造のリスクがある
  • 法的要件を満たさない場合、無効になる可能性がある
  • 自筆が要求されるため、自筆が難しい場合は作成できない
  • 見つからない可能性がある
  • 家庭裁判所による検認の申立が必要で、手続きや時間がかかり受遺者に負担をかける
  • 本人の意思を立証するのが難しく、後で問題が発生する可能性がある

※令和2年7月10日より、遺言書保管所による保管制度が始まりました。
これにより、自筆証書遺言の紛失や偽造の問題が解消され、利用しやすくなりました。

公正証書遺言

特徴

公正証書遺言は公証人が介在して作成される遺言書であり、公証人と証人2名が必要です。作成後は公証役場で原本が保管されるため、紛失や偽造のリスクがありません。

メリット

  • 原本が公証役場に保管されることで紛失や偽造のリスクがない
  • 公証人が本人の意思を確認するため法的な有効性が高く、遺言内容が実現する可能性が極めて高い
  • 病気などの理由で出向けない場合でも自宅や入院先で作成可能である
  • 家庭裁判所による検認手続が不要なので早期の遺言執行が可能である

デメリット

  • 費用がかかる
  • 準備に時間がかかる

秘密証書遺言

特徴

秘密証書遺言は自分で書いた遺言書を封筒に入れ、公証人と証人2名の前でその封筒が遺言書であることを宣言して作成される遺言書です。この方法の特徴は、遺言の存在を明確にできる一方で内容は秘密にすることができる点です。

メリット

  • 内容を秘密にできる
  • 公証役場への手数料が安く済む
  • 偽造・変造の心配がない
  • 代筆やパソコンでの作成も可能

デメリット

  • 内容の確認を公証役場では行わないため、法的な要件を満たしていないと無効になる可能性がある
  • 自筆である必要がないため、判断能力が低下している高齢者に有利な遺言を押し付けられるリスクがあり、内容の信憑性が低い可能性がある
  • 家庭裁判所による検認の申立が必要で、手続きや時間がかかり受遺者に負担をかける
  • 遺言書自体は自宅等で保管するため、滅失・隠匿の危険性がある
  • 見つからない可能性がある

自分に合った遺言書を選ぶコツ

遺言書を選ぶ際のポイントは、自分の状況やニーズに合ったものを選ぶことが大切です。例えば、費用をかけずに手軽に作成したい場合には自筆証書遺言が適しています。一方で、紛失や偽造のリスクを避けたい場合や法的要件を満たした確実な遺言を残したい場合は、公正証書遺言が適しています。

秘密証書遺言はデメリットが大きいため、あまり利用されていません。一般的には、検認手続きの不要さや確実な遺言執行を重視し、公正証書遺言を推奨しています。

自筆証書遺言でも、令和2年7月10日から始まった法務局の「自筆証書遺言書保管制度」により、手軽に実施できる環境が整いました。自分の優先事項や遺言書のメリット・デメリットを考慮して検討することが重要です。

遺言書を書くときの注意点

自筆証書遺言では全文を自分で書く必要がある他、日付と署名を忘れず法定の要件を満たして記載する必要があります。遺言の内容が法律に違反していないか、また誤解を招かないように明確に書くことも重要です。
遺言書についての重要な要件や注意事項に関しては、詳細は別の記事でご確認いただけます。

遺言書に書けること、書けないこと

遺言書には、財産の分配や後見人の指定など、さまざまなことを記述することができます。しかし、法的に有効な遺言書には、法律で規定された内容の記載が必要です。遺言書には記載しても法的効力がない「付言事項」を含めることもできます。付言事項とは、葬儀や納骨の希望、家族への感謝、家族との仲良しを願うメッセージなどを指します。財産分配が主な内容である法定事項とは異なり、これらの付言事項が遺言書の中で重要な意味を持ち、遺された家族への貴重な遺言となり得ます。
さらに、遺言書には財産分配や身分事項の指定が可能ですが、相続人の指定などは認められません。実効的な遺言書を作成するためには、法律で定められたルールに準拠することが必要です。

最後に

遺言書の作成は、あなたのためだけでなく、遺された家族のためにも重要です。自分の希望に合った遺言書を選ぶことが肝要です。遺言書を残すことは、自分の人生を振り返り、大切な人たちへの思いを再確認する機会になります。
ぜひ遺言書を作成されることをおすすめいたします。

千葉市にある当事務所では、遺言書の作成から相続手続きまで、終活全般の包括的なサポートを提供しています。
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