【簡単】相続税、実は自分で計算できる!基礎知識と計算方法を解説
相続税について聞いたことがありますか?多くの人が「難しそう」「専門家に任せるしかない」と思いがちです。しかし、基本的な知識を持ち、自分で計算することは実はそれほど困難ではありません。本記事では、相続税の基礎知識から具体的な計算方法まで、詳しく解説していきます。これを読めば、相続税についての理解が深まり、自分で計算できるようになります。
相続税とは?
まず初めに、相続税とは何か理解しておきましょう。相続税とは、被相続人が残した財産を相続人が受け取る際に課せられる税金です。
財産には現金、土地、株式などさまざまな形態があります。
ただ、被相続人が残した財産が全て課税対象となるわけではなく、相続税法上一部除外されるものもあります。
除外されるものを除いた、課税対象の財産を下記の計算式にはてはめ、いくらが課税財産となるか計算されます。
課税対象となる相続財産の合計額 ー 基礎控除額 = 課税相続財産
課税相続財産を計算したあとは、その財産が具体的にいくらの相続税となるか計算して終了です。
それではまず、具体的に何が課税対象となるかみていきたいと思います。
課税対象財産
本来の相続財産
金融資産
現金や預貯金、株式、債券などの金融資産は相続税の対象となります。預貯金は相続発生時の額がそのままですが、株式等についてはいくつかの評価タイミングから選んでいく必要があり、別記事で解説いたします。
不動産
不動産は相続税の計算が難しい部分です。土地と建物で評価方法が異なります。
土地の評価は「路線価方式」や「倍率方式」で行います。
建物の評価は、「固定資産税評価額」で評価されます。
動産
美術品や骨董品、自動車などの動産も相続財産に含まれます。評価方法は、原則は売買するときの実例価格や専門家による評価額を考慮して決まります。
売買価格や専門家による評価額がなかなかつかないものの場合、【 同じような動産の小売価格 ー 製造してから相続までの減価償却費 】で計算されます。
減価償却費については、定率法で計算することとなります。必要な数字については下記をご参照ください。
みなし相続財産
生命保険金・死亡退職金
生命保険金と死亡退職金はともにみなし相続財産として相続税の課税対象財産に含まれますが、下記の特別な非課税枠があることにより、保険金額そのまま課税対象となるわけではないため注意が必要です。
計算式:【 法定相続人の人数 × 500万円 】
法定相続人の人数には、相続放棄をした者も含んで計算されます。また養子がいる場合も注意が必要です。
実子もいる場合は養子を1人まで、実子がいない場合は養子を2人まで計算に含めることができます。
生前贈与された財産
相続開始前3年以内の暦年贈与・相続時精算課税制度による贈与
被相続人からの上記贈与は、相続税の課税対象の財産として計算にいれる必要があります。
相続税の課税対象からマイナスする財産
被相続人の借金などの負債や未払いの税金
被相続人の負債も相続の対象となり、相続放棄をしない限り相続人が引き継ぐこととなります。
そのため、相続税の課税対象から負債の分についてはマイナスすることが認められており、マイナスした残額に対して相続税が課されることとなります。
葬儀費用
葬儀や埋葬にかかった費用については、同様に課税財産から差し引くことができます。
ただし、一部差し引くことができないものもあり、香典返しや法要等の費用があります。
基礎控除の計算方法
相続税の計算には、基礎控除を理解する必要があります。基礎控除の額は以下の式で計算されます。
基礎控除の計算式
基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
※法定相続人の人数への養子の参入人数に関しては、保険金についての項を参照ください。
具体例
例えば、相続人が妻・長男・次男の3人の場合の基礎控除額は:
3,000万円 + (600万円 × 3) = 4,800万円
課税相続財産を計算する
基礎控除後の課税価格を計算します。
課税相続財産計算の流れ
- 課税対象となる財産総額を計算
- 基礎控除額を差し引く
- 課税相続財産を算出
相続税を計算する
ここまでは相続税を計算するもととなる、課税相続財産を出してきました。
ここからは、そこから先の相続税を実際に出す流れを解説いたします。
相続税計算の流れ
ここまでで解説した流れです。下記で算出されます。
課税対象となる相続財産の合計額 ー 基礎控除額 = 課税相続財産
ステップ2では、下記の流れで相続税の合計額を算出します
この段階では、実際の相続分と差異が出ますが後の計算で調整されますのでご安心ください
ここで出した最終的な相続税額を各々が、相続開始を知ったときの翌日から10か月以内に申告することとなります。
控除の詳細については、別記事で解説いたします
相続税の税率表
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
具体例
下記のような例では、具体的に各人の相続税額がいくらになるか計算をしてみます。
・課税相続財産を計算したら、1億5千万円だった
・相続人は、妻・長男・次男の3人
・実際の相続割合は、妻4割・長男4割・次男2割
相続税に関しての注意点
相続税の2割加算
被相続人の配偶者・一親等以内の血族においては、ここまで解説した流れで算出された税額を申告することとなります。
ですがその他の相続人においては、相続税が2割加算されるというルールがあります。
そのなかでも分かりづらく注意すべきなのが、下記の方になります。
- 兄弟姉妹 2割加算対象
- 甥姪 2割加算対象
- 直接の養子 2割加算対象外
- 孫を養子にした 2割加算対象
- 代襲相続人である孫 2割加算対象外
税務署への申告
相続税の申告は期限があり、基本的には相続の開始を知った日の翌日から起算して10ヶ月以内に申告しなければなりません。
遺産分割協議が難航していて10か月以内に終わらない場合でも、税務署への申告は先に行う必要があります。
この場合、遺産分割協議が正式に終わった段階で、修正申告または更正の請求をすることで、正しい相続税を納付することができます。
専門家の利用
自分で計算できるとはいえ、複雑なケースでは専門家の助言を受けることをおすすめします。
相続税に関して得意としている税理士へご相談いただくことで、適切なアドバイスを提供してくれます。
まとめ
相続税の計算にはいくつかのステップがありますが、基本的な知識を持っていれば自分で計算することも可能です。基礎控除や課税価格、累進税率、各種控除などを理解し、正確な計算を心がけましょう。必要に応じて専門家の助言を受けることで、さらに正確かつ効率的に相続税を処理することができます。