相続手続きのスムーズな進め方:流れをわかりやすく解説
大切な人が亡くなった後、悲しみに暮れる間もなく、故人から引き継ぐべきものがたくさんあります。残されたご家族にとって、 相続手続き は決して楽な道のりではありません。しかし、複雑な手続きだからこそ、正しい知識とスムーズな流れを把握しておくことが重要です。
この記事では、 相続手続きの全体像 を把握し、それぞれの段階で 何をするべきか を具体的に解説していきます。さらに、手続きをスムーズに進めるための 情報や注意点 も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 相続の準備:まずは何をすればいい?
1-1. 死亡届の提出と埋葬の手続き
まずは、 死亡の事実を関係各所に知らせる ところから始めます。死亡届の提出期限は、死亡を知った日から 7日以内 と定められています。死亡届と同時に、埋葬許可証の発行も受けましょう。
【ポイント】
- 死亡届は、故人の本籍地、死亡地、届出人の住所地のいずれかの市区町村役場に提出します。
- 埋葬許可証は、火葬や埋葬を行う際に必要となります。
1-2. 遺言書の調査
遺言書があるかどうかで、手続の流れが異なります。今回は遺言書がなかった場合の流れを解説するため、遺言書は調査の結果見つからなかったものとします。
遺言書を探す場合、公正証書遺言を作成していれば、お近くの公証役場へ申し出れば遺言書の検索が可能です。自筆証書遺言を作成していた場合、遺言書保管制度を利用されていれば、お近くの遺言書保管所にて、遺言書情報証明書を請求すれば存在を確認できます。
制度を利用されておらず、自宅内にある場合は、ご本人のお部屋や金庫等頑張って探すしかありません。事前に確認しておくことが望ましいです。
1-3. 相続人の調査と確認
次に、 誰が相続人になるのか を明確にする必要があります。民法で定められた 法定相続人 を確認し、それぞれの 人数や続柄 を把握しましょう。場合によっては、相続人が既に亡くなっていて代襲相続となることもあるので、相続人の範囲に注意が必要です。
【ポイント】
- 戸籍謄本などの書類を収集し、相続人を確定します。
- 相続人の確定は、後の手続きにおいて非常に重要になります。
- ここで漏れがあった場合、あとの遺産分割協議をやり直す必要があります。
2. 遺産の調査と相続財産の確定
2-1. 預貯金、不動産、株式などの洗い出し
相続財産には、 プラスの財産 だけではなく、 マイナスの財産 (借金など)も含まれます。預貯金、不動産、株式、自動車などの財産を 漏れなく調査 し、 相続開始時点での時価評価額 を算出します。
【ポイント】
- 遺産分割協議で相続人間でもめないためにも、適切に財産評価額の確認を行います。
- 金融機関に対しては、残高証明書を請求します。
- 不動産に関しては、固定資産税評価証明書を行政より取得します。
- マイナスの財産については、信用情報機関へ情報開示請求をすることや、自宅の金庫等に資料が残されていないか確認をします。
2-2. 遺産分割協議の準備と相続財産の確定
遺産の調査が完了したら、 遺産分割協議 の準備に入ります。遺産分割協議とは、 誰がどの財産を相続するか を話し合うことです。
【ポイント】
- 遺産分割協議書を作成することで、あとの財産の分配の手続きがスムーズとなり、また相続人間でもめないためにも作成がおすすめです。
- 遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の 調停 を利用する方法もあります。
3. 相続手続きの実施:各種手続きと必要書類
3-1. 預貯金の解約・名義変更
相続財産に預貯金が含まれる場合は、 金融機関 に対して解約や名義変更の手続きを行います。
【必要書類】
- 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の実印
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書など
※金融機関により異なる場合もあるため要確認
3-2. 不動産の相続登記
相続財産に不動産が含まれる場合は、 法務局 に対して相続登記の申請を行います。
【必要書類】
- 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本
- 被相続人の住民票または戸籍の附票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人の住民票または戸籍の附票
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書
- 固定資産評価証明書など
3-3. 株式の名義変更
相続財産に株式が含まれる場合は、 証券会社 に対して名義変更の手続きを行います。
【必要書類】
- 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書など
3-4. 相続税の申告と納付
相続税の申告が必要な場合は、 相続開始から10ヶ月以内 に税務署へ申告書を提出します。
【ポイント】
- 相続税の基礎控除額は、 3,000万円+600万円×法定相続人の数 となります。
- 手続きが難しいと感じる場合、税理士への依頼を検討します。
4. 相続手続きをスムーズに進めるためのポイント
4-1. 専門家への相談
相続手続きは、複雑な手続きや専門知識を必要とする場面も多くあります。 専門家 に相談することで、スムーズかつ確実な手続きを進めることができます。
4-2. エンディングノートの活用
エンディングノートとは、 自分の財産や希望する葬儀の内容などを記しておくノート のことです。あらかじめエンディングノートを作成しておくことで、相続手続きをスムーズに進めることができます。
4-3. 早期からの準備
相続手続きは、 早め早めに準備しておくこと が重要です。遺言書の作成や相続財産の整理などをしておくことで、相続発生後の手続きをスムーズに進めることができます。
まとめ
相続手続きは、複雑で時間のかかるプロセスですが、正しい知識と準備があれば、スムーズに進めることができます。大切な家族のためにも、ぜひこの記事を参考にして、一歩ずつ手続きを進めていきましょう。