相続人が見つからないときの対処法:失踪宣告と不在者財産管理人の役割

相続手続きを進めるうえで、相続人のうちにが行方不明者がいる場合は遺産分割協議を行うことができず、ただでさえ大変な相続手続きが滞ってしまいます。このような場合は、失踪宣告や不在者財産管理人の制度を利用することが有効です。本記事では、相続人が見つからないときの対処法として「失踪宣告」と「不在者財産管理人」の役割について詳しく解説します。

目次

相続人が行方不明とわかった場合の対応

戸籍の調査

相続人を確定させる中で、連絡のとれない行方不明者がいた場合、該当の相続人の戸籍の附票を調べます。
戸籍の附票には現住所も載っているため、住所を把握し相手に連絡をすることができます。
ただ、この場合においても単純に住民票を移していない場合や、本当に失踪していてその住所にはいない場合等、その住所地におらず連絡がとれない場合もあります。

戸籍調査から得た住所地の情報をもってしても相続人が見つけられない場合、そのままでは遺産分割協議を進めることができません。
相続人が行方不明の場合、以下の2つの方法で対処するのが一般的です。

  • 失踪宣告
  • 不在者財産管理人

失踪宣告とは?

失踪宣告の定義

失踪宣告とは、法律上一定期間にわたり行方不明であると判断された人を法的に「死亡」したものとみなす手続きです。
これにより、その人の財産や法的権利を処理することが可能になります。

失踪宣告の条件

失踪宣告はどの場合でも行えるわけではなく、以下の条件があります。

  • 普通失踪:7年以上生死不明
  • 特別失踪:1年以上生死不明(遭難や災害など)

上記の条件が満たされれば、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることができます。

失踪宣告の手続き

申立書の準備

まず、失踪宣告を家庭裁判所に申請するための申立書を準備します。
申立書には、行方不明の期間や失踪に至った経緯など具体的な情報の記載が必要です。

提出書類と証拠の整理

申立書の他に、相続人の戸籍謄本や行方不明を証明する証拠書類等を提出する必要があります。これらを整理し、家庭裁判所に提出します。

裁判所での審理

提出書類が受理されると、家庭裁判所による調査と官報や裁判所の掲示板での公告がなされます。
一定期間内に失踪者本人やその周囲の者からの届出がなかった場合、失踪宣告がなされることとなります。

失踪宣告の確定

失踪宣告が認められると正式証明の書類が発行されます。この書類は役所へ提出します。
相続人が正式に死亡したものとみなされるため、相続手続きや財産分配が進められることとなります。

失踪宣告による注意点

失踪日の判定日による問題

失踪宣告により相続人が死亡していたとみなされれば、最初の遺産分割協議自体は進められそうに思いますが、その前に検討事項があります。それは、その相続人が死亡したとみなされた日が場合によっては、最初の相続である被相続人の死亡日より前となる可能性があることです。この場合、最初の相続においては、行方不明者である者の子などに代襲相続が発生します。
判定日に注意が必要です。

時間がかかる

公示をしたり届出がないか待つ時間などもあり、申出書を提出してから実際に失踪宣告がなされるまでには時間がかかります。
ですので、相続手続をすぐに終わらせたいという目的だけであれば、失踪宣告の利用はあまりおすすめではありません。

あとから本人が出てきた

いざ失踪宣告がなされ、遺産分割協議を行い遺産を分配したとしても、実は生きていた相続人があとから現れた場合、遺産分割協議をやり直す必要があります。

不在者財産管理人とは?

不在者財産管理人の定義

不在者財産管理人とは、相続人が行方不明の場合にその財産を管理・保全するために裁判所から任命される人物です。財産の保全や必要な処理を代行します。

不在者財産管理人の選任プロセス

申請書の作成

まず、家庭裁判所に提出するための申請書を作成します。申請書には不在者の情報や財産の詳細、管理の必要性を記載します。

必要書類の収集

申請書と共に、不在者の戸籍謄本や財産目録などの証拠書類を収集します。これらの書類を揃えて、家庭裁判所に提出します。

審理と選任

家庭裁判所で審理が行われ、不在者財産管理人の選任が決定されます。選任後、正式な選任通知が送付され、その後の管理業務が開始されます。

遺産分割協議

相続手続きが進めるための遺産分割協議について、不在者財産管理人に不在者の代理人として参加してもらうためには、このままではできません。権限外行為許可と呼ばれる家庭裁判所による別途許可が必要です。

許可を受けて、不在者財産管理人に参加してもらい遺産分割協議を行う流れとなります。

不在者財産管理人による注意点

終了の条件

相続手続きをすすめるためだけに不在者財産管理人を選任させたとしても、それが財産管理の終了事由とはなりません。
不在者財産管理人が終了となるのは、不在者が死亡していることが確認される、失踪宣告がなされる、又は管理する財産がなくなる、いずれかを満たすまで続くこととなります。

失踪宣告と不在者財産管理人の比較

利用シーンの違い

失踪宣告は、相続人が長期間行方不明の場合にその死亡を法的に認めてもらい、相続手続きを進めるために用いられます。一方、不在者財産管理人は、相続人が短期間のうちに発見される可能性がある場合に、一時的な財産管理を行うために利用されます。

法的効力の違い

失踪宣告は、相続人を死亡したものとみなすため、相続人としての地位についてもまた更にその相続人が引き継ぐこととなります。
不在者財産管理人は財産管理を行うのみで、相続人の地位や権利に変化は生じません。

失踪宣告と不在者財産管理人の費用

手続き費用と管理費用

両者ともに裁判所の手続きを必要とするため、手続き費用が発生します。また、不在者財産管理人には別途管理費用(報酬)が必要です。

費用の負担方法

申し立ての際の手続き費用は窓口で申出者が負担しますが、管理費用は不在者の財産から支払われます。

お困りの方へ:専門家の活用

専門家への相談

相続人が行方不明で手続きに不安がある場合、専門家に相談することをお勧めします。
行政書士は、相続手続きや書類作成のサポートを行います。

まとめ

相続人が行方不明の場合、失踪宣告や不在者財産管理人の制度を利用することで止まっていた相続手続きを進めることができます。失踪宣告は相続人を死亡したものとみなし、不在者財産管理人は一時的な財産管理を行う役割です。それぞれの手続きや役割を理解し、適切な方法を選択することが重要です。専門家への相談や適切なサポートを受けることで、円滑に問題を解決できるでしょう。

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