遺言書での財産分配をスムーズに!財産目録の書き方の基本

遺言書を作成する際、財産目録は非常に重要な要素です。
この目録によって、遺言書のスムーズな作成や将来的な紛争を避けることにも繋がります。
本記事では、財産目録の基本的な書き方について解説します。

目次

財産目録とは?

財産目録は、遺言者が持つ全ての財産を記載したリストです。このリストには、不動産、預金、株式、車両、貴金属など、あらゆる財産が含まれます。
また、これらプラスの財産だけでなく、借入があるなどマイナスの財産についても記載が必要です。

財産目録が重要な理由

財産目録自体は、意外かもしれませんが作成の義務はありません。
遺言書を記載する際に、「妻〇〇に土地Aを相続させる」など持っている財産を誰に引き継ぐか記載すれば、効力自体は発揮され本来は事足ります。
ただそれでも、手間が増えてしまいますが財産目録を作成することをおすすめいたします。

なぜならば財産目録を作成することで以下のメリットがあるからです。

・遺言者の引き継がれる全財産として、なにが、どこに、どの程度あるのかが把握できる
・財産目録はパソコンで作成可能なため、遺言書自体の作成がスムーズに行える
・相続時に一部相続人による財産の隠匿を防ぐことができ、争族のリスクを減らすことができる
・相続税の申告時に活用することができる
・マイナスの財産をしっかり記載しておくことで、相続放棄するか判断することができる

上記のように多くのメリットがあります。
遺言のスムーズな執行のためにも、相続時の相続人の負担軽減のためにも予め財産目録を作成することをおすすめいたします。

財産目録は自筆以外でも作成できる

遺言者が自筆証書遺言を作成する際に財産目録を添付する場合、以前は本文と同様に自筆であることが要件でした。
ですが、2019年1月13日に民法968条第2項が改正されたことにより、パソコンで作成した財産目録や通帳・全部事項証明書のコピー等での添付が認められることとなりました。作成しやすく便利になりましたが、下記の注意事項がありますので、お気を付けください。

パソコンで作成した財産目録、通帳や全部事項証明書のコピー等の余白に、遺言者の署名と押印が必要です。
自筆以外の内容で、紙の両面に情報を載せている場合は、両面に署名と押印をする必要があります。

財産目録の作成手順

財産目録を作成する際には、以下の手順で作成します。

STEP
財産の洗い出し

相続時に遺言者の全財産が引き継がれることとなりますので、所有する全ての財産をリストアップします。
見落としがないよう、丁寧に漏れなく確認しましょう。

STEP
財産の詳細情報の確認

リストアップした各財産の詳細な情報を確認していきます。
どんな財産かが特定できるよう、それぞれ下記のように具体的なところまで情報を集めます。
各種財産の評価額については、任意ですが相続税の申告時に参考にもなりますので、大まかにでよいので調べていきます。

不動産

履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を確認。

  • 地番
  • 地目
  • 地積
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積
  • 相続税評価額又は固定資産税評価額
預貯金

通帳などを確認。

  • 銀行名
  • 支店名
  • 口座の種別
  • 口座番号
  • 口座名義人
  • 価格
有価証券

自分の口座を確認。

  • 証券会社名
  • 有価証券の種類
  • 銘柄
  • 数量
  • 価額
自動車

車検証を確認。評価額はガリバー等中古車サイトを参照。

  • 車名
  • 登録番号又は車両番号
  • 車体番号
  • 評価額
動産(価値のある物品)
  • 対象の名前
  • 評価額
債務(借金)
  • 住宅ローン等借入の種類
  • 債権者
  • 借入総額
  • 現在の債務残高
  • 返済方法(今どのようにどの程度返済しているか)
  • 完済予定日
STEP
書面として作成する

ここまで調査した内容を、書面に落とし込んでいきます。
作成方法は、手書きとパソコンのどちらでも構いません。パソコンでの作成の場合は、エクセルを用いると、視覚的に分かりやすく、修正も容易なため、推奨します。
リスト化の過程で、個別のプラスの財産から借入などのマイナスの財産を差し引くことで、遺言者や相続人にとって、具体的な財産状況を把握しやすい内容となります。
作成後は、署名押印を忘れずに行ってください。

STEP
財産目録を遺言書に添付する

第968条2項
前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

作成した財産目録は遺言書とともに保管することとなりますが、民法968条第2項では財産目録の添付方法について具体的な規定は設けられていません。
遺言書とホチキス止めをするのは必須事項ではありませんが、後から疑義が生じないよう、この財産目録と遺言書がセットであることを明確にしておくことが望ましいと考えます。
そのため、ホチキス止めを行い、契印し、封筒に入れて封印して保存するなど、遺言書との一体性を明確にしておくことが望ましいと言えます。

財産目録の作成時の注意点

財産目録の作成に関しては、注意すべき事項もありますので、ご説明いたします。

詳細な記載を心がける

財産の詳細情報は、しっかりと特定できることが重要ですので、できるだけ詳しく記載しましょう

評価額がいつの時点での基準なのかを記載する

各財産の評価額については、いつの時点での評価なのかも記載しておくことが望ましいです。
相続税の申告においては評価額によって納税すべきかしなくともよいか決まってくるのですが、正確には遺言者の死亡時点での評価額により決まります。
ですので作成時点での評価額はものによっては参考値となりますが、記載しておくことが相続人に対して親切かと思います。

記載を誤ってしまったときの訂正方法

自筆証書遺言の本文についても言えることなのですが、まず記載を誤ってしまったとき一番おすすめの方法として作成し直すことです。
訂正方法が規定の方法から逸脱していると、訂正自体が無効となってしまうためです。
ですが誤りが軽微であり、そのまま訂正としたい場合、その方法は遺言書本文と同一の訂正方法をとることとなります。
詳細については、下記関連記事をご参照ください。

まとめ

財産目録を正確にしっかりと作成することで、各種メリットがあります。
本記事で紹介した方法を参考にして、財産目録の作成に取り組んでみてください。

千葉市にある当事務所では、遺言書の作成から相続手続きまで、終活全般の包括的なサポートを提供しています。
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